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死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日:通風口



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死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

以前、原子炉建屋の構造イラストを描いた本が、Amazonで本のベストセラーの一位になり、増刷も決まったと編集部から知らせが入りました。
今、編集部はテレビの取材と作者さんとのコーディネートに忙殺されているそうです。

この本を読んであらためて知ったのですが、あの時期の日本は本当に大変な危機に瀕していたようです。


吉田所長は昨日食道がんで亡くなられました。
体調を崩し、一線を退かれてからは病魔との戦いの日々と伝え聞いておりました。
今回の波紋は、吉田所長の死と引き換えのようで非常に複雑な気持ちですが、
これで、吉田所長以下現場の所員の苦闘と、日本人にもたらされた、あの危険な日々を多くの人に認識して頂けることでしょう。
カスタマーレビューの評価も素晴らしいものですね。


70日間100位以内が続いているようで、ベストセラーであるとともに、ロングスパンで売れており、
福島の原発問題が、今は忘れたかのように平和を装っている日本国民にとって、心に深く突き刺さる重い出来事であることが伺い知れます。



私の仕事は口絵の図解だけですが、大変な労作となりました。
当初、いくらかの資料を渡され、編集部と作者のチェックが少し入る程度で、構成を検討しつつ絵を作っていったのですが、
やがて、東電や原発関係の最も高いレベルの専門家達がチェックを加えるようになり、
厳しく繰り返すチェックと、更なる要望が重なり、
このままでは絵としてまとめ上げて完成するのは困難なのでは無いかと危惧するほどでした。
私は25年以上に渡り絵の仕事をしておりますが、あの原発建屋の構造図は、最も制作が難航した絵のひとつです。
それだけ、あの本に関わった人達が皆、レベルが高く、そして真剣だったのだと思います。



2011年のあの日々、吉田所長と現場の職員達が身を挺して食い止めていなければ、
今頃日本は、北海道と西日本だけ、主要だった地域は無人の荒野...
致命的な問題を抱え、弱体化した国力のまま数百年を耐え忍ぶことになっていたことでしょう。



私達の住む国土を守って頂いた吉田所長に感謝いたしたいと思います。



・・・・・・・



イラスト館たま、・・・http://tamah.web.fc2.com/il.html



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